EC市場の拡大が続き、チャネルが多様化しています。また、SNSやスマートフォンから始まるカスタマージャーニーを設計することの重要性が増しています。マルチチャネル化による顧客との接点の増加は、充実した顧客体験を演出することにも貢献するでしょう。その結果、自社の利益拡大も期待できます。

この記事では、マルチチャネルのメリットと課題の整理を行い、活用までの流れを解説します。

マルチチャネルとは?

売り手と買い手をつなぐチャネル(経路)が複数ある状態をマルチチャネルと呼びます。

チャネルはマーケティング用語で「顧客への流入経路」の意味があります。もとは英語のchannelから来ており「水路」や「海峡」を意味します。日本語で「チャンネル」と読むときと意味の違いはありません。

概要

デジタル化に伴い、チャネルは様々な形態が見られるようになりました。その結果、買い手との接点が増えるとともに多様化しています。インターネットが身近になり、消費者行動も変化してきました。

こうした変化への対応のため、マルチチャネルそしてクロスチャネルやオムニチャネルが登場するようになりました。それぞれの利点と欠点を把握し活用することで売上高や顧客満足度の向上が期待できます。

チャネル増加の背景

経済産業省「令和 3年度 電子商取引に関する市場調査報告書」によると、2021 年の国内BtoC-EC 市場規模は、20 兆 6,950 億円であり、対前年比で 1 兆 4,171 億円の増加と推定されています。国内BtoC-EC 市場規模とEC 化率は2013 年から上昇を続けていて、2021 年の BtoB-EC 市場規模は、372 兆 7,073 億円(前年比+11.3%)です。

また2020 年時点でインターネットの人口普及率 は 83.4%、これは多くの高齢者や幼児なども含めて考えるとほぼカバーされているといっていいでしょう。インターネットの普及と共に、EC化が進み、特にBtoCではスマートフォンを使った購買がポピュラーになっています。

実店舗以外の市場が拡大していることも分かります。

チャネルの種類

  • 実店舗
  • 企業サイト
  • ECサイト
  • テレアポ
  • 訪問営業
  • SNS(LINE、Instagram、Twitter、Facebook など)
  • ダイレクトメール
  • メールマガジン
  • インターネット広告(検索連動型、ディスプレイ、動画)
  • マスコミ四媒体広告(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)
  • プロモーションメディア広告(屋外、交通、折込、ダイレクトメールなど)

このようにチャネルには、さまざまな種類、特徴があります。狭義では、直接的な販売を行う実店舗と、ECサイトや訪問営業など複数のチャネルがある状態をマルチチャネルと言います。

マルチチャネルのメリット

企業側がマルチチャネルをもつことのメリットを解説します。

顧客との接点の増加

顧客との接点が作りやすいことがマルチチャネルのメリットです。顧客の行動パターンは多様化しており、実店舗には足をはこばない層や、日ごろメールや電話の代わりにSNSを頻繁に使う層など、企業のアプローチ方法が偏っていると一切接点をもてなくなる可能性があります。

マルチチャネル化により、スマートフォンのなかだけでも多岐にわたるチャネルから接点を持ちやすくなります。

販売機会の拡大

一方的に情報伝達や宣伝を行うチャネルもありますが、ECサイトでは直接販売する機会にもなります。

利用者は時や場所を選ばずに商品を購入できるほか、自宅などへ配送された商品を受け取ることができます。こうした利用者にとっての利便性の高さから、実店舗に足を運ばない、または購入まで至らない客層にも販売機会を広げられるでしょう

コミュニケーション機会の増加

同時にコミュニケーションの機会も増加できます。

スマートフォンの専用アプリを使用したオンライン接客が挙げられます。

一方で、ビジュアルマーチャンダイジング方式に見られるように実店舗空間における視覚的な要素を設計し、商品やブランドイメージを効果的に演出する取り組みがあります。商品を直接手に取り、実際の色見や手触りを確かめられ、店員からはアドバイスや生の情報を得られるでしょう。どのコミュニケーション方法が適切かは顧客のタイプによって異なります。

いくつかのチャネルを状況や、需要に合わせバランスよく使うことが大切です。

各チャネルの販売情報の収集と分析

チャネルが独立して分析できる場合、特にデジタルの領域では、どのチャネルがどのくらい成果に貢献したかの確認が容易です。維持費がかかる割には成果が出ていないチャネルなどを取りやめる判断もしやすいでしょう。

ただしチャネルを複数保有していることに価値がある場合があります。直接的な販売につながるECサイトや店舗以外のチャネルの価値を測る方法も考えなくてはなりません。

チャネルごとにカスタマイズした施策

例えば実店舗であれば、ビジュアルマーチャンダイジングによって訴求ができます。実店舗空間での体験は他のチャネルには無い強みです。DtoC(Direct to Consumer)では、自社の商材を自社のECサイトで販売します。ブランドイメージの構築と維持がしやすく、ファッションや化粧品の業種と相性が良いと考えられ活用されています。これから食品などの分野にも拡大し成長する可能性があります。ECサイトやSNSでは、新商品やセールの情報を発信できます。クーポンを発行し購買行動を促すこともできます。タイムリーに情報発信して訴求できることが長所となります。各チャネルの特徴を理解し、活用することで需要を生み出し応えることができます。

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マルチチャネルのデメリット

次にマルチチャネルを展開するデメリットについても解説します。マルチを追求するほどに、複雑化してしまうのが最大の難点といえるでしょう。

コストの増加

マルチチャネルを推進すると、チャネルごとに構築費用、運用コスト、広告費などが必要です。基本的にチャネルを増やせば増やすほどコストは増加するため、見込まれる売上とのバランスをできるだけ正確に予測する必要があります。

マルチチャネル化そのものが目的となってはなりません。

在庫管理が複雑

実店舗と、ECサイトでは商品の見せ方や売り方が異なるため、必ずしも同じ商品の売れ行きが良いとは限りません。ECサイトでは在庫がない商品が実店舗にはまだ十分にあったり、逆に実店舗では売り切れたがECサイトでは入手可能であることが起こりえます。

他のチャネルへ在庫を送り、釣り合いを保つことができれば販売機会を失うことを防げます。しかしそのためには在庫状況をチャネル間で共有する必要があり、配送を含めてシステム化し管理する必要があります。

チャネルの連携や情報共有が難しい

ECサイトの普及によって、ショールーミングという消費者行動が目立つようになりました。商品をお店で見て、ネットで購入するスタイルです。

実店舗で接客をしても売上が伸びず、ECサイトに客を送ることになります。連携が取れていなければ、チャネル間で顧客を逃したり、奪い合ったりする恐れもあるでしょう。このように、実店舗からECサイトへの送客(ECサイトから実店舗へ)を意図して行うことが困難です。

進化形のクロスチャネルとオムニチャネル

ハッシュタグ検索やショールーミングなどの消費者行動の変化が起きてきました。その結果、従来のマルチチャネルから進化する形で消費者の心理や行動変化に対応するためクロスチャネルやオムニチャネルという形態が生まれました。

クロスチャネル

チャネル間で情報を共有し、機能面での独立を保ちつつ連携を取り合うシステムです。CRM(顧客関係管理)、MA(マーケティングオートメーション)、在庫管理システムなどの活用によって実現できます。

EC 側への送客に貢献した実店舗の販売員に対し報奨金を出すなど、ショールーミングに特化した実店舗も見られます。

逆にウェブルーミングを促進する取り組みでは、実店舗の在庫状況をイ ンターネット上で公開する例が挙げられます。このようにオンライン側からオフライン側へ送客することをO2O(Online To Offline)と呼びます。

オムニチャネル

クロスチャネルではオンラインとオフラインを分けて考えるのに対し、オムニチャネルはオンライン・オフラインを明確には区別しません。顧客にとっては、どのチャネルでも一定品質のサービスが受けられる点がメリットです。

ECで 購入した商品を自宅近くの店舗で受け取るのは、オムニチャネルの一例です。チャネルの違いを意識する必要がなくシームレスに連携しているといえるでしょう。提供する企業から見ると、各チャネルの独立性が曖昧となり、ブランドイメージを統一しやすくなります。

ただし、オムニチャネルを実装するには、モバイルアプリの開発やタイムリーな在庫管理システム導入などマルチチャネル化以上の初期投資が必要です。

マルチチャネルの活用の流れ

マルチチャネルを実装するための具体的な流れを見てみましょう。

マルチチャネルの利点と課題の把握

マルチチャネルに初期コストや維持費はかかりますが、新しい顧客と繋がりをもちビジネスの裾野を広げることが期待できます。チャネルが異なる場合の情報共有や連携が難しいと理解しつつ、顧客との接点を増やし、得られる利益が最大になるようチャネル間のバランスを調整します

カスタマージャーニーの設計

マルチチャネル化に伴い顧客体験も変化しています。各チャネルと顧客のとの関わりを概観し、カスタマージャーニーを設計する必要があります。

たとえばSNSではハッシュタグ検索機能を使って目的の情報を得ようとする消費者行動が増えており、商材に関する情報発信に加えてブランディング施策として用いられています。またインフルエンサーがおすすめする商品を購入したいなどの消費者ニーズも生まれています。

「顧客はどのようなルートで、商品を知り、購入したいと思うのか」この仮説を正しく設定できれば、優先順位の高いチャネルが定義できるでしょう。

チャネルごとに最適化した施策

マルチチャネルの強みは各チャネルが独立して機能していることにあります。そこで各チャネルの特徴を生かした施策をします。

SNSであれば、拡散性の高さを利用し人気店員がおすすめのアイデア商品などを紹介することが効果的ですし、ECサイトでは、期間限定の価格、商品の販売をメールマガジンの配信やスマホアプリのプッシュ通知で知らせられます。

実店舗では、ビジュアルマーチャンダイジングによりブランドイメージを保ちながら訴求ができます。比較し購入してほしい、色合いやデザインを店舗空間に効果的に配置することで、合わせて購入したい商品を見つけ易くできます。

ICTを活用したチャネルとの連携

現在、ICTの進歩によって様々なチャネルが見られるようになりました。

拡張現実(AR)の技術は家具や化粧品などで利用でき、仮想空間にある部屋や顔に合わせて商品を試せます。メタバース上での出店も、身近になっていくと予想されます。新たなチャネルをスタートしつつ、他のチャネルとのバランスを確認しながら拡大してくのが王道のパターンになるでしょう。

クロスチャネル、オムニチャネルへの移行と合わせ検討し、PDCAやOODAサイクルを回し最適化を行います。

まとめ

EC市場の拡大が続き、チャネルが多様化しています。それぞれのチャネルの利点を整理し、状況に応じて運用することが大切です。

マルチチャネル化による顧客との接点の増加は、消費者の行動に影響を与え、顧客からの好印象にもつなげやすいでしょう。その結果、自社の利益拡大に効果を上げることが期待できます。

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