フリーランスや個人事業主として独立したら、自分で信頼を積み上げて仕事を獲得していくことが必要です。自分自身を売り込む営業にはさまざまな手段があります。
ブログやSNSでの発信、挨拶状を出して開業報告する、近所へのチラシ投函、インターネットサービスでのつながり、既存客から紹介を受ける…など、取り組みたい手法は多いものの、営業ばかりに集中するのも時間的に許されません。
そんなフリーランスの味方となるのが、営業代行です。こちらが個人でも、気軽に相談や依頼でき、自分の代わりに仕事を獲得してくれます。また、フリーランスの中には、自身が営業パーソンとなり「他社の営業を請け負いたい」「自分自身が営業代行したい」というニーズもあります。
この記事ではフリーランスが「営業を委託する」「企業の営業代行を受託して活躍する」双方の視点から解説していきます。
営業代行が行ってくれること
営業代行会社は、企業や個人の代わりに営業活動を行ってくれます。営業代行には2種類あり、代行専門の会社と、フリーで活動する営業フリーランスがいます。
主な業務は以下のようになり、一部または全部を委託できます。
- テレアポなどで見込み客へのアプローチ
- セミナーなどを行う際の集客サポート
- 訪問セールス
- 既存客へのフォロー、次の仕事の受注
- 営業戦略の提案と実行
フリーランスの場合、商品=自分というケースが多いでしょう。「自分を売り込む」プロセスをお願いするイメージです。
自動的に仕事が舞い込んでくる売れっ子でなければ、次の仕事の保証はないはずです。しかし今の仕事を行いながら、次の新しい仕事を確保しようと独力で動くには時間的な困難が伴います。
フリーランスが営業代行を発注するメリット
フリーランスが発注者として、営業代行を依頼するメリットを解説します。
仮に売上がまだ十分にあげられなくても、将来の売上をアップさせる可能性があります。フリーランス初心者にも、実績のあるフリーランスにも活用メリットがあるでしょう。
仕事の受注率をアップできる
営業のプロが、依頼主の強みを生かした戦略を立ててくれます。その上で仕事を受注しやすい可能性の高いクライアントに売り込むので、成約率がアップします。
とくに依頼側がエンジニアやライターなど、「確かなスキルと実績をもっているが営業はやったことがない、苦手」という方ほど、効果が出やすいと予測されます。
交渉による単価の向上が見込める
重要な交渉事を自分で行わなくてもよいのもメリットです。報酬の交渉もその一つ。
たとえば、受注がほしいので希望金額に届いていなくても受けるべきでしょうか。「料金交渉で悪い印象を持たれたら今後のオファーは、より安いライバルに流れてしまうかも」などの心配もあるでしょう。
こうした交渉の経験が浅く、かつ自分自身の値付けとなるとやりづらいものです。契約内容によっては代行会社の売上増にもつながるので、客観的な目で料金交渉してもらうのは有効です。
時間の短縮化、本来の業務に専念できる
営業代行を置くことで自身が本来の業務に専念できますので生産性が高まります。
不慣れな営業に時間をとられていては、本来の業務の品質に影響が及びかねません。それで現在のクライアントの満足度が下がるようならば本末転倒です。
慣れているプロは業務の実行スピードも当然早いでしょう。自身の業務を行っている間に受注が取れるかもしれません。
自身のブランディング戦略に生かせる
営業代行は、営業戦略の立案も行ってくれます。つまりどこに仕事受注のチャンスがあるかを客観的に分析してくれるということです。
現在の自分の価値や強みについて第三者の評価を受けられるのは貴重な機会と言えるでしょう。「自身では当然と思っていたスキルが、市場では希少性があった」などの発見があると、より高単価な仕事の受注につながります。
自身の能力をどのように表現すればより評価が高まるか、ブランディング戦略にも生かせるはずです。
営業代行を利用する際の注意点
営業代行を利用するうえで気をつけたいのは「丸投げ」してしまうことです。あくまでも主役は依頼側であるフリーランス自身。営業代行に任せるところは任せつつも、「現状を把握する」意識は重要です。
以下では、営業代行利用時の注意点を解説します。
受注の見通しが把握しづらい
自分以外の誰かに営業を任せるということは、タイムリーに現状を把握するのは難しくなります。
受注できそうか、順調なのかが気になるのは理解できますが、せっかく費用を払って任せているので、過度な状況確認は避けましょう。どこまで干渉してもよいか、どこまで報告を受けるべきか、軌道に乗るまではコミュニケーションを取りながら適切なバランスを探る必要があります。
自分自身にノウハウが蓄積されない
営業代行に任せ過ぎてしまうと、交渉テクニックやコツなどが自分自身に蓄積されません。
クライアントとの交渉を第三者に任せるのは有効ということは確かなものの、売上以外は手元に残らないのでは長期的にはマイナスと言わざるをえません。
「肝心な交渉には同席する」「どのような交渉が行われたか細部まで報告を受ける」などが有効です。
依存度が高くなると、止めどきが難しい
委託をいつまで行うかは、最初から計画しておくべきです。
営業代行を利用し、「受注効率が上がった」「売上もアップした」まではよかったものの、さらに売上を伸ばすため、または売上維持のために、いつまでも営業代行を依頼し続けるというケースが企業の場合に見受けられます。依存度が高すぎるドーピングのような状態です。
予防策としては、営業代行会社のコンサルティング機能を活用し、交渉や営業のワザを自分自身にため込め姿勢と実践が大切です。
結果が出なくてもコストは発生?
仮に一件も受注が取れなくても、基礎的な報酬が発生する契約が一般的です。
成果報酬にあたる部分の支払いはありませんが、通常は固定費も含めた契約になるためです。委託のコストがそのまま持ち出しになる可能性はあります。
依頼後の具体的な流れ
営業代行と上手に付き合って、よい成果を上げるためには、実際の業務の流れを知っておくのは大切です。委託元と営業代行はパートナーであり、共同で準備する場面や、委託元のチェックが必要なこともあるでしょう。
主に次のような業務フローが想定されるので、順番に確認していきます。
ヒアリング
最初は委託先による業務ヒアリングです。
自身の受注したい仕事の種類、期限、単価、得意なスキルなどを代行会社に伝えます。
他にも競合となる企業の情報、普段の仕事の探し方、自身の実績、希望金額なども欠かさずに伝えていきましょう。どれだけの仕事をいつまでに受けられるかを知ってもらうのも重要です。
契約内容の確認
代行会社に支払う報酬の見積もりをもらい、その後、業務委託契約を結びます。開始時期や報告方法、スケジュール、営業体制などは必ず確認しておきます。
契約を取り交わして以降は、直接面談する機会は多くないかもしれません。しっかりとこちらの熱意、こだわりのポイントを今一度伝えるとよいでしょう。
事前準備:チーム編成やセールスコンテンツの作成
営業代行がマネージャや実際に営業を行うセールスパーソンをアサインしチームが編成されます。
依頼側のToDoとしては、セールスコンテンツと呼ばれる営業に使う提案ツールや、テレアポを行う際のトーク、メール原稿などのチェックが求められます。また最初のセールスリストのチェックして、すでにお付き合いのあるクライアントや、自ら当たったほうがいい相手などを除くようにします。
営業実行:初期はまめなチェック体制を作る
営業代行がアポイントを獲得して、実際に見込み客を訪問し商談することになったら、できる限り自身も同席するとよいでしょう。
とくに初期は、実際の営業場面を見ることで内容がチェックでき、互いの認識のズレを減らせます。当然、こちらの熱意も伝わり緊張感をもって営業代行してもらえます。
自身にとっての営業のプロのスキルを目の当たりにして吸収できることも多いはずです。
フィードバックを受ける
営業件数を重ねてくると、クライアント側から出てくる要望や受注金額などで市場とマッチしている点、ミスマッチな部分も分かってきます。より有利な受注を獲得するために、代行企業からのフィードバックやアドバイスも得られます。
その結果、自身のポートフォリオの修正や受注条件の見直しが上手にできれば、単価も売上も上がっていくことが期待されます。
仕事を取れるか、取れないかだけではなく、自身のどんな点を強調すればより有利に事が運ぶかなど、「売り方やブランディング戦略」を一緒に考えてもらうことも有効です。長期的に自身の商品力アップを手伝ってくれる代行企業を選ぶのが重要だと言えるでしょう。
プロセルトラクションが営業代行としてサポート
この記事で営業代行の活用方法は理解できますが、それを自社に当てはめることはかんたんではありません。プロセルトラクションではあなたの会社にマッチした営業方法のプランニングから実践までサポートしていますので、お悩みの方は是非一度ご連絡ください。
フリーランス向け営業代行の相場
料金体系としては、固定報酬と成果報酬、両方をミックスしたハイブリッド型の3種類に大別されます。最低金額保証の上で、「固定金額にプラスして、1件売るごとに成果金額」とするのがおすすめです。依頼側と代行企業の間の信頼関係も強くなり、長期的な営業戦略が構築できるでしょう。
中小企業やフリーランス向けの代行企業を選んだ場合の初期費用は5~10万円程度が相場です。加えて、アポイントを取ったら1~5万円程度の成功報酬を支払うこととなります。
アポイント獲得までを目的とした、テレアポ代行では3~5万円程度の予算でスタートできるほか、代行会社によっては1件あたり100円前後という格安のお試しプランを用意している企業もあります。ただ、アポイントを獲得できた場合の成功報酬が設定されているケースも多くあるので、総額がいくらになるか見通しは欠かさないようにしましょう。
おすすめ代行企業の紹介
営業代行企業は多くの企業がありますが、中でも中小企業や個人の支援にも実績のある企業を中心に紹介します。相談や見積は無料で対応してくれる企業も多いでしょう。委託先を選ぶ参考にしてください。
プロセルトラクション
プロセルトラクションはフットワークが軽く、現場でクライアントから聞いた情報をフィードバックしてくれるなど、PDCAを回してより営業内容を改善していく企業です。また、様々な結果を残してきた実力のあるセールスパーソンが揃っています。
新規事業の立ち上げ経験が豊富なため、ゼロから営業戦略を練りたいというケースでもお勧めです。スタートアップ企業にも多くのクライアントを持っています。
そのため依頼主がフリーランスでも丁寧に対話を重ねてくれ、結果として受注も獲得できるという伴走者のようなパートナーシップを体感できるでしょう。
レイゼクス
IT業界の中小企業や個人事業主向けに特化した「ゼロット」を展開しています。
継続して売上をあげる仕組み作りを得意としていて、大量に一斉の電話をかけるよりも、小さくてもひとつひとつのクライアントに向き合う姿勢なので、小規模な事業者におすすめです。
GLOXY
成果報酬型のテレアポ代行企業です。アポ獲得に特化して、商談機会を提供してくれます。
所定のアポ件数まで達したら業務終了という契約もできるため、自身の予算にあわせた計画ができるでしょう。トークスクリプトやリスト作成も得意としているほか、広告ツールやWebサイトの作成支援も行ってくれます。
タスク
中小企業、個人事業主向けに特化して、初期費用を抑えて利用しやすい料金設定をしています。
数日のお試し期間にも対応し、1件の商談スポットで代行するなど柔軟なのは利用側にとってはうれしい制度と言えるでしょう。電話も1コール¥180からと、少ない予算で依頼できます。
イクイップ
格安のテレアポ「ビズコール」をサービス展開する企業です。
独自のアポイント獲得保証を付けており、質にも自信があることをアピールしています。お試しプランが充実しており、リストやトークの準備もお任せできるため、まずは効果を実感したいという方も気軽に導入できるでしょう。
このほかにも、営業代行企業は多数ありますが、それぞれ得意分野、領域が異なります。
フリーランス向けの実績はあるか、任せきりではなく対話型で様々な相談ができるか、少額からでも柔軟に対応してくれるか、などをチェックポイントとして比較検討を進めてください。
自身が「営業フリーランス」で活躍したい場合
ここまでは「フリーランスの方が営業代行を発注する」場面を見てきました。一方で、フリーランスの方が営業代行として活躍するケースが増えています。
多いのは、個人が培ってきた営業スキルを使って、企業の依頼を受けて現場に常駐したり、外回りしたりするスタイル。実績のある方だと、営業研修など若手の営業社員に向けた講義を行う仕事もあります。
これから営業代行をスタートしたいというフリーランスの方は、まず専門のエージェントに登録するのが仕事獲得の近道でしょう。
依頼側には「営業代行企業に発注するほど大掛かりではない」ものの、ピンポイントで営業経験が豊富なセールスパーソンを一時的に補強したいニーズがあります。この場合、自然とフリーランス営業に白羽の矢が立ちやすくなるのです。
成果報酬型が多く、フリーランスとしては売った分だけ収入と実績が増えます。比較的気軽に受注でき、やりがいにもつながりやすいでしょう。
こうした企業案件を受注するために、とくに有力な「リファラル営業サイト」を2つ紹介します。
セールスハブ
セールスハブはフリーランス営業と委託先を探したい企業のマッチングを行うプラットフォームです。
審査を通過すると限定的な案件を紹介してもらえる制度があります。
報酬の相場は、アポイント1件獲得で¥10,000~¥30,000程度。また成約したら成約額の5~10%程度が成功報酬というケースが多いようです。会員数、登録企業数とも多く、初めて営業代行をやってみるという方におすすめです。
サイドビズ
サイドビズも同じく、アポや受注などの成果によって報酬が増える仕組みです。
通常は法人でなければ扱えないような高額な商材の登録もあるほか、報酬も1件で¥20,000を超える高額の案件が多いという評判があります。
案件を選ぶ際、自分がやりやすい分野や、都道府県エリアでふさわしい案件を絞る便利な検索機能がついています。「成果が出せる」と思える分野、商材を選ぶとよいでしょう。
まとめ
営業代行のメリットや注意点を、フリーランスの目線で紹介しました。自分自身という「商品」の魅力を最大化するにはプロの客観的な目と、営業の腕を借りるのは重要な一手です。
フリーランスの方こそ、営業代行によるビジネス拡大のチャンスは大きい可能性があります。ぜひ検討、活用してみてください。