成果報酬型の営業代行では、得られた成約結果によって報酬が変動します。一般的には業務委託契約を行う段階で、最終的な金額が決まっていることが多いのに対して、業務完了まで報酬金額が決まらないことになります。

またそれに伴って、カスタマイズしなければならないのは業務委託契約書に記載する項目や文言です。

この記事では、成果報酬型の営業代行を活用する際に、締結する契約書の作成方法について解説します。

営業代行における成果の定義

成果報酬で定める「成果」にはさまざまな種類があります。必ずしも成果=売上ではありません。

契約時の条件で成果=売上と設定もできますが、アポの成約や商談アポ1件完了を成果と定義するのも可能です。これは契約を結ぶ両者が合意して決める内容です。

(例1)電話でアポイントが1件取れたら、1万円の成果報酬。

(例2)見込み客に訪問したら1社に対して1000円の報酬。

(例3)売上額の10%をレベニューシェア。

など細かなKPI設定を行い、達成されればさらに報酬を加算するなどの契約もあります。

営業代行と販売代理店の違いは?

営業代行会社は、クライアントの名前で営業活動を行います。代行会社の営業パーソンに対して、クライアントから直接報酬が渡るケースは通常ありません。

また販売代理店は、営業活動を自社の名前で行います。この点、クライアントの社名を名乗って黒子に徹する営業代行とは対照的な考え方です。販売代理店が受注、販売した場合、代金のうち契約で定められた手数料が販売代理店のコミッション収入となります。

営業代行と販売代理店の比較

営業代行会社、販売代理店は「営業を行う」のは共通していても、システムの異なる存在です。それぞれの特徴と自社が営業を委託する場合のメリット・デメリットを比較します。

営業代行会社の利用メリット

営業代行会社を活用する場合のメリットは次のようなものがあります。

  • 自社の弱いところをピンポイントで補える。

自社営業パーソンのアポイント獲得率が低い場合、アポイント数をKPIとして設定した営業代行と契約し、多くのアポイントを取ってもらい改善が図れるでしょう。

  • 営業のプロフェッショナルを即戦力として使える。

営業代行会社に所蔵する営業パーソンは、自身のスキルに自信があり、営業実績を残した人物が多いです。営業スキルが高い人員を自社で採用するのは困難であり、一時的に営業力を補強できます。

自社の営業担当もプロフェッショナル営業パーソンに学び、触発されてスキルアップするという副次効果も期待できます。

営業代行会社のデメリット

一般的には費用面、依存性、管理の難しさなどがデメリットとしてあげられます。

  • 成果を上げた分、代行費用がかさむ

成果報酬型の契約の場合、アポや受注が決まるほど、営業代行会社への報酬が増えます。アポ獲得ばかり増えて成約に至らない場合は支出だけ増えることもあり得ます

  • 長期的に営業代行会社への依存状態が続く懸念がある

営業代行のおかげで売上がアップし、その後も売上を伸ばすために契約を続けるケースもよくあります。

契約を切ってしまうと、売上が落ちてしまうのは営業代行への依存状態とも言えます。自社の営業体制の強化も怠ってはなりません。

  • 営業活動の詳細内容を管理できない

代行会社がどんな営業を行っているか管理できないという悩みをよく聞きます。結果が順調でもクライアント側としては、できるだけ詳細な報告を得るように管理方法を確立しておく必要があります。

販売代理店のメリット

販売代理店は、依頼側とは独立した関係なので依頼しやすく、「売れた分だけ手数料を払う」という明快さがメリットです。

  • 基本的に依頼側にランニングコストはかからない、代理店へ商品を卸すことが主
  • 販売代理店の独自の知り合いや販売網に営業をかけると、効果的に販路拡大できる可能性がある

また完全な成果報酬である場合が多いので、依頼側にはリスクが少ないとも言われます。

販売代理店のデメリット

依頼元と販売代理店の考えにズレが生まれるとデメリットにつながるケースがあります。

  • 販売初期の売れ行きが悪いと販売代理店が熱を失ってしまう

販売代理店には「売れる商品ばかりを売りたがる」傾向があると言われます。成約して販売手数料を受け取れる契約形態なので自然な流れとも言えます。

依頼側としては辛抱強く営業して徐々に販路拡大のチャンスを広がてほしいと考えているためギャップが生まれやすくなります。

  • 複数の販売代理店で営業先がバッティングする可能性がある

販売代理店は複数社使うことも多いでしょう。顧客の地域や業態などで分けるものの、これだけの情報社会にあっては複数の代理店が同じ顧客にアプローチし、対立が生まれることもあります。

依頼側からすればトラブルの整理に余計なパワーを取られる可能性があります。

メリット・デメリットを把握したうえで、会社の成長フェーズに合わせて、営業代行、販売代理店を使い分ける。ときには両方を活用して売上拡大を図っていきます。

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営業代行と契約するには

先に委託の目的を明確にする必要があります。営業代行では、前記したよう営業活動をサポートしてもらう役割をもちます。

期待するのはアポイントの獲得か、または契約時点で明確に取り決めを行います。

成果報酬型の営業代行では、契約時の取り決めで報酬額が決まるので、何をどう依頼するのか、予算上限はいくらかを踏まえて、委託内容を交渉しましょう。

契約書の種類を理解する

業務委託契約書

営業代行を契約する場合、多くは『業務委託契約書』という契約書を交わします。

見逃しがちですが、代行を依頼するのはあくまでも「営業代行会社」に対してであり、実働の営業パーソンではありません。営業代行会社の営業パーソンに対しては雇用関係はなく、労働基準法の規制や勤務時間、残業、休暇、賞与などの責任はすべて営業代行会社が負うものです。

営業以外の分野でも、自社が業務を他社に委託するケースは多いはずです。営業の委託業務だから他と異なる点は、報酬が変動する点でしょう。それ以外は他の業務の委託契約書と、おおむね同じと理解いただいて問題ありません。

販売代理店契約書

販売代理店契約は、メーカー側が代理店となる販売先に販売する権利を与える契約です。

販売代理店契約では、販売代理店がメーカー側の商品を預かり(基本、代理店は購入しません)それを第三者に販売します。広い意味でのライセンス契約ととらえるとよいでしょう。

したがって、「売買の基本契約書」に、販売協力義務や商標権の利用などが盛り込まれます。クレームなどトラブル時に対応するのは販売代理店であるのが一般的です。

また、販売代理店に独占的な販売権を与えるかどうかの条件も大切なポイントとなります。

契約書作成の際の注意点

業務委託契約では、業務範囲や金額などに不明確な点があると後に思わぬトラブルを招きかねません。

ここからは、『業務委託契約書』を例に、具体的な記載内容を紹介するとともに、各項目における契約時に注意する点も併せて紹介します。

委託内容によって、契約書の記載内容は異なりますが、最低限必要な項目は以下の通りです。

契約の目的

依頼主から代行業者へ、依頼するための目的であることを記載します。

(例)甲(依頼主)は、乙(代行業者)に対し、別紙目録記載の○○製品の営業活動業務を委託し、乙はこれを受託した。

業務委託の内容

委託内容を記載します。業務の詳細は別紙にまとめて契約書はシンプルに記載すると業務内容を変更する際に便利です。

(例)○○製品の売上拡大に向けた営業活動。(別紙参照)

契約期間

委託期間の期限を設けます。長期に渡って契約する場合は「両者から解約の申し立てがない限り契約の自動更新」などと記載するケースも多くあります。

(例)本件業務は、本契約締結日から令和〇年〇月〇日までとする。ただし解除を希望する場合は〇か月前までに書面で申し出るものとし、また、甲・乙の両者から解約の申し立てがない限り、本契約は1年間自動更新される。

業務の対価

委託業務の対価を記します。成果報酬型の営業代行の場合、営業活動の項目別で報酬を決定するため、別紙にて詳細を設定することが無難でしょう。

また、報酬額の決定時期や支払い時期も記載する必要があります。

(例)本件業務の対価は、基本月額金を〇〇〇円とし、追加で支払う報酬額については別紙を参照とする。また、支払い時期については追加報酬額の決定を毎月20日締めで行い、翌月10日に支払う。

費用負担

代行営業に係る諸経費について、依頼主と代行業者のどちらが負担するのかを記載します。商談先へ行く交通費、通信費、商談の際のカフェ代、依頼主会社の名刺を作成する費用などがあります。

細かく費用負担を明記しておかないと、依頼側としては全て委託費用に含まれているものだと思ったなどとトラブルの原因となってしまいます。明記しておきましょう。

(例)本営業に係る費用は、本契約書添付の別紙の費用負担表に従って、甲及び乙が負担するものとする。

再委託の有無

再委託とは、代行会社が新たに下請け会社を雇い業務を遂行することを言います。この場合、本来お願いする予定だった代行業者とは別の人間に自社の営業活動を委託する形になりますので注意が必要です。

個人情報の管理が難しくなるなどリスクを伴うので、委託側としては再委託を禁止するのも手です。ただし営業代行会社が外部のパワーを使いたい場合には、再委託先を明確にし、再委託先にもルールを正しく守らせること、などの記載が必須です。

(例)受託者は、業務の処理を第三者に委託し、又は請け負わせてはならない。ただし、書面により発注者の承諾を得た場合のみ、その限りではない。

知的財産の帰属

知的財産とは、業務を遂行する上で生み出された営業ノウハウ、レポートなどです。

その知的財産が、本委託業務の中で発生した場合、契約満了となったタイミングで依頼主の物になるのか、それとも代行業者の物になるのかといった取り決めを記載する項目です。

当然ながら、依頼側からすれば「依頼主へ帰属する」と記載するのが無難。

(例)委託業務により作成された成果物に関わる一切の権利は依頼主の帰属するものとする。

禁止事項

営業代行の委託業務では、営業活動を詳しく管理できないことから禁止事項を設定するケースがあります。

再委託の禁止もここに記載できます。違反した場合のペナルティなどを記載する場合もあります。

(例)代行業者は、依頼主の事前の書面による承諾なく、本営業の全部または一部の第三者への再委託を行ってはならない。

秘密保持

本委託業務で知り得た情報を、本委託業務以外で口外もしくは活用することを禁止するための項目です。秘密には、顧客情報などのほか、営業会議で使った資料など、会社が秘密保持の対象とすると明記したあらゆるものが含まれます。

秘密保持の項目は、厳密に記載することで情報資産を守るための鎧となってくれます。

(例)本委託業務に関して知り得た相手方、相手方の関連会社、相手方の従業員、相手方の取引先等の事業情報および技術情報その他一切の情報を、本委託業務の目的以外に使用してはならない。

契約の解除

両者が契約事項に対して違反した場合、契約の解除が出来る旨を記載する項目になります。

たとえば禁止事項に抵触した、情報漏洩が発覚したなどの場合、依頼主は契約を解除することができ、報酬は支払われない。逆に、成果に対して既定の報酬額が支払われない場合は、代行業者は契約解除できるなどの内容が記載されます。

(例)依頼主は、代行業者が本契約に違反した場合に、相当の期間を置いて催告したにもかかわらず是正されないときは、本契約を解除することが出来る。

双方の会社名、住所、代表者の氏名、印

最後に両者の合意があり、本契約を結びましたということを証明するために両者の社名、住所、代表者の氏名、捺印をします。

(例)以上の合意を証するため、本契約書2通を各当事者が記名押印し作成し、各自一部づつ保管する。

   甲:〇〇県〇〇市〇〇町   株式会社〇〇〇〇   代表取締役 〇〇〇〇〇〇 印

   乙:××県××市××町   株式会社××××   代表取締役 ×××××× 印

この記事では業務委託契約書を紹介しましたが、販売代理店契約の場合にも明記しなければならない項目に大きな差はありません。互いの責任、リスク回避、禁止事項、違反した場合のペナルティを明記し、トラブルが起こらないようにしましょう。

契約書の一文はしっかりチェック

あくまで契約書の構成を理解いただくために、例を記載しました。

概略は理解できても実際には法務担当者や、法律専門職のチェックを経てから締結に移る必要があるのは言うまでもありません。

きちんとした契約書で委託先と代行会社が合意できれば、双方にとってよいビジネス促進になるはずです。

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