多くの企業で共通の課題となっているのが、営業担当者の負担増や、リード管理・新規開拓にかかる労力の増大です。すべてを外部に任せるのではなく、自社営業を軸にしつつ営業代行を部分的に活用すれば効率化を図れます。
しかし、その営業代行サービスにもAIによる革命が進んでいます。従来は人力に頼っていたリスト作成や優先順位付けが自動化され、飛躍的に成果を向上させている営業代行もあります。
月100件のリード獲得が300件に、商談設定率が20%から35%に——こうした成果は、営業代行によるAI活用を抜きには語れません。 自社営業を維持しながら、最新のAI営業代行を部分導入することで、コストを抑えつつ成果を最大化する方法を解説します。
この記事の目次
AIの台頭と導入で変わる営業代行の実態
「月30万円払っているのに、アポはほとんど増えない」
「日報を見ても『不在』や『未接続』ばかり…」
こんな悩みに共感できるなら、まだ旧式の労働集約型の営業代行に投資を続けているのかもしれません。AIを活用することによって、一口に営業代行といっても、高速道路を走る “スーパーカー型” と “あぜ道を馬車で走るチーム” が共存しているような状況になっています。
従来型の営業代行(馬車)
従来型の営業代行では、見込み客リストを人力で作成するため、多くの時間がかかるうえに精度にも限界がありました。
アプローチ方法も担当者の経験や勘に依存するテレアポが中心で、成功率は高くありません。さらに、顧客管理もエクセルなど属人的なやり方に頼っているのが実情です。
AI活用型の営業代行(スーパーカー)
AIを活用した営業代行では、数千から数万件規模のデータを一気に分析し、その中から確度の高い見込み客だけを抽出可能です。顧客の行動データをもとに「反応が得られやすいタイミング」を特定し、効率的にアプローチできます。
商談内容をAIが解析し、次に取るべき最適なアクションを提案してくれるため、営業活動全体の精度と成果が大きく高まります。
同じ「営業代行」であっても、従来型とAI活用型とでは、仕組みも成果も大きく異なるのです。
時間と精度で歴然の差
AIを導入することで最も変わるのは 「時短」と「精度」 です。
- リスト作成 :人間なら数日かかる作業をAIは数分で完了
- 配信時間の最適化 :「誰に、いつ、どう接触するか」をデータから判断
- 商談の分析 : 成約に至りやすい会話パターンを抽出
つまり、人が気づくのに数週間〜数か月かかる傾向を、AIは数時間〜数日で見抜けます。
その結果、「数をこなす営業」から「精度を高める営業」へとシフトできるのです。
まだ大半は労働集約型のまま
ただしAIの活用をうたっている会社に対しても、注意が必要です。実際は「メール文をChatGPTで作っているだけ」という営業代行も少なくないためです。
AI活用によって真の成果につなげられるのは、戦略的にAIを組み込み、データドリブンで営業を最適化している代行会社だけと考えてよいでしょう。
AI活用型営業代行の導入領域とメリット・注意点
AI活用型の営業代行には得意な業務があり、その領域では大きな効果を発揮します。一方で苦手な分野もあるため、使いどころを理解することが重要です。
ここでは、AI活用型営業代行の導入領域とメリット・デメリットについて解説します。
AI活用型営業代行の導入領域
AIを活用した営業代行は、リード獲得やターゲティング、アポイント獲得や商談設定、さらには商談記録や分析・フィードバックといった営業の各段階で活用できます。
AIでウェブ上の企業情報やSNSの動向を分析して、購入意欲の高い見込み客を自動で抽出したり、過去の商談履歴をもとに成約確度の高いリードを優先的に提示したりします。
営業代行担当者がAIの分析結果を活用してメールや電話で効率的にアプローチすることで、商談設定率の向上が可能です。商談内容の記録・分析によって、次回以降の提案内容やフォロー方法を最適化でき、営業チーム全体のパフォーマンス向上につながります。
メリット
AIを活用した営業代行の最大のメリットは、営業スピードの向上です。AIは短時間で大量のデータを処理し、成約可能性の高いリストを抽出できます。営業担当者は、優先度の高い案件に集中できるため無駄なアプローチを減らせます。
また、リスト作成や顧客情報整理といった作業を自動化することで、工数を削減でき、人件費の抑制にもつながります。特に人材不足の企業では、少人数でも多数の案件を効率的に処理できる点が大きな強みです。
完全にAIだけに頼るのはかえって危険
顧客との信頼構築には、依然として人間による対応が欠かせません。特に成約など重要な局面では、自社の営業担当に引き継いだほうが効果的です。
また、AIの精度は投入するデータの質に大きく左右されるため、不正確な情報や不足しているデータがあると成果を出しにくくなります。
導入・運用の初期段階では、設定やチューニングに一定の負荷がかかる点も理解しておく必要があります。
営業のお悩みはプロセルトラクションにご相談ください
プロセルトラクションでは豊富な営業実績を持つ担当者が、AIではカバーしきれない領域をサポートいたします。
自社の営業に課題を感じている方は、ぜひプロセルトラクションにご相談ください。
AIのみ・営業代行のみ・AI活用型営業代行の比較
営業方法をAI単体、営業代行の単体、またはAIと営業代行を組み合わせたハイブリッドの3パターンで比較します。
AIのみ活用
自社で営業を内製化しつつ、AIツールを活用して効率化する形態です。AIによる顧客リストの自動作成やメール送信のタイミングの最適化などによって、営業活動のスピードを高められます。
低コストで導入しやすく、運用の柔軟性も高い点が魅力です。ただし、全ての実働部分を自社メンバーが担わなくてはならないため、負担が集中しやすい点には注意が必要です。
営業代行のみ活用
営業業務を外部の専門チームに委託し、即戦力として稼働してもらう方法です。経験豊富な代行担当者が、電話やメールで新規顧客に働きかけアポイントを獲得するといった直接的な営業活動を任せられます。
短期間で成果を出しやすく、営業チームが社内にいなくても案件を進められる点がメリットです。
ただし、外注費用は比較的高めになりやすく、手作業によるリスト作成やアプローチの精度、処理速度には限界があることを理解しておく必要があります。
AI活用型営業代行
AIによる効率化と、営業代行による信頼構築力を組み合わせたハイブリッド型の営業手法です。
AIが顧客データを分析して成約可能性の高いリストを抽出し、営業代行担当者がリストに基づいて個別対応や商談を行うことで、短期間で成果を高められるでしょう。メールや電話の送信タイミングをAIが最適化することで、交渉の無駄も減らせます。
ただし、AIの分析結果と代行担当者の営業行動をうまく連携させる運用設計が重要です。この連携が不十分だと、せっかくのAI活用や代行の強みを十分に引き出せない場合があります。
AI活用型営業代行が向いている企業・向いていない企業
AIを活用した営業代行はすべての企業に最適とは限りません。営業体制や商材特性、顧客層によって導入効果が大きく変わります。
ここでは、向いている企業とそうでない企業の特徴を整理します。
向いている企業
営業リストや案件数が多く、効率化の余地が大きい企業は、AI活用型営業代行との相性が良好です。
全国規模で支店を展開している不動産会社や、取り扱い商材が多岐にわたるITソリューション企業などは、大量の見込み客データを抱えており、AIの得意分野である高速データ処理の恩恵を受けやすいでしょう。AIが成約見込みの高い案件を抽出することで、営業担当者は確度の高い顧客に集中できます。
また、営業人材の採用や育成が難しい企業、例えば地方拠点やスタートアップなどでも、AIを活用すれば少人数で広範囲な営業活動をカバー可能です。短期間で新規開拓件数を増やしたい場合や、展示会や広告などで急激にリードが増えたタイミングでも、高い効果を発揮します。
向いていない企業
顧客単価が低く、AI導入コストの回収が難しい企業は、投資効果が限定的になりがちです。1件あたりの利益が数百円程度の商品を扱うネットショップでは、業務効率化によって作業時間を半減できたとしても、初期投資や利用料を回収するまでに数年かかる可能性があります。
極めてニッチな市場で、AIが学習できる過去データや事例がほとんど存在しない場合も注意が必要です。特殊な工芸品や一点物のアンティークのように商品仕様や顧客層が案件ごとに大きく異なるとAIの分析精度が安定せず、予測や提案の質が低下する恐れがあります。
このようなケースでは、AIよりも経験豊富な人間の判断が成果につながる場合が多いでしょう。
AI活用型営業代行を導入する手順
AIと営業代行を採用する流れを説明します。
- 課題の洗い出し
- AI活用範囲の設定
- 代行会社との役割分担決定
- 効果検証と改善
自社の営業活動における課題を洗い出しましょう。例えば「新規リードの獲得数が伸びない」「商談の優先順位が不明確」といった現状を整理します。
AIをどの業務に活用するかを決定します。顧客リストの自動作成やメール送信の最適化など、目的に応じて範囲を設定してください。
外部の営業代行と役割分担を明確化します。例えば、AIが見込み客を抽出し、代行担当者が商談やフォローを担当する形です。
導入後はKPI(リード獲得数や成約率など)を設定し、定期的に効果を検証します。AIの分析精度や営業プロセスを改善しながら運用を継続することで、成果を高めていきます。
AIを活用した営業代行の成功・失敗事例
紹介する事例はAI単体での活用例ですが、営業代行と組み合わせることで、さらに高い成果や改善スピードを狙える可能性があります。
AI✕営業代行のポテンシャルを理解する参考としてご覧ください。
成功事例
【事例概要】
BtoB向けSaaS企業では、商談録音データをAI解析し、受注率の高い会話パターンを抽出しました。これによって、新人営業のアポ獲得率が40%から64%に向上し、平均受注単価は1.2倍に上昇します。さらに、新人の早期離職率も40%から15%に改善しました。
【AI活用型営業代行なら…】
営業代行チームが現場でAIが抽出した会話パターンを即時に実践・検証し、その結果を再度AIにフィードバックすることで改善サイクルが短縮可能です。
さらに、営業代行なら多業界での経験を活かしつつ、業界特有の商談パターンをスムーズに取り入れられるため、成果に結びつくまでの期間を短縮しやすくなります。
失敗事例
【事例概要】
AI導入時に使用したデータが量も少なく質も低かったため、予測精度が大きく低下した事例です。あるメーカーでは商品の需要予測を試みましたが、CMプロモーションやセールなどのイベント情報がデータに反映されておらず、高精度な予測ができませんでした。
【AI活用型営業代行なら…】
不十分なデータによってAIが精度の高い分析を出せない場合でも、営業代行スタッフが現場の情報や顧客の反応を直接収集・反映します。
キャンペーンや急な需要変化など、AIが捉えきれない要素を人の判断で補完することで、精度の低さをカバーし、成果につながる提案と営業活動を継続的に行えます。
AIで成果を出せる営業代行の見極め方
AIを取り入れた営業代行は増えていますが、実際に成果を出せるかどうかは会社によって大きな差があります。
ここでは、選ぶ際のチェックポイントを整理しました。
AI活用の目的と範囲が明確か
「とりあえずAIを導入した」というだけでは意味がありません。どの業務領域でAIを活用しているのか、その目的が具体的に説明されているかを確認しましょう。
人とAIの役割分担ができているか
成果が出やすいのは、AIがリスト抽出や初期対応を行い、その後を人間が引き継いで深掘りする流れです。成約直前までAI任せにするサービスはリスクが高いため、最終的に営業担当者が信頼構築やクロージングを担う仕組みがあるかを見極める必要があります。
データの質と運用体制は整っているか
AIの精度は入力されるデータの質に大きく左右されます。顧客データや商談ログを蓄積し、定期的にモデル改善しているかどうかがポイントです。単なる「リスト営業」ではなく、AIを活用してPDCAを回せる体制かどうかを確認しましょう。
実績と透明性があるか
AI導入によってどのような成果を出しているのか、具体的な事例や数値を提示してくれるかをチェックします。また、プロセスやアルゴリズムの一部を開示するなど、ブラックボックス化していないかどうかも重要です。
サポートとカスタマイズ性はあるか
業界や商材ごとに営業のスタイルは異なります。自社に合わせてAIを調整できるか、導入後も改善提案やカスタマイズを続けてくれるかをチェックしましょう。導入しただけでフォローがないサービスは、成果につながりにくいので注意が必要です。
次世代型営業代行は活用範囲の見極めが重要
AIはスピードと精度、営業代行は信頼構築と即戦力化に強みがあります。両者を組み合わせれば成果を最大化できますが、成功のためには、自社の課題や目標に沿った活用範囲を見極めることと、適切な業者選びが重要です。
営業代行はプロセルトラクションにお任せください
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