VoCとは、Voice of Customer の略で、直訳すると「顧客の声」です。「顧客の声」は、新しい製品やサービスの開発、既存商品の改善、顧客満足度向上においてもっとも重要な要素です。

VoCを集めて分析すると、企業視点からではわからない気づきや今後のヒントがあります。

本記事では、VoCの概要から、VoCの活動の重要性やメリット、実際のやり方、顧客満足度につなげる方法まで解説します。

VoCとは

VoC(Voice of Customer)は「顧客の声」を意味します。顧客の直接的な意見を収集し、顧客のニーズや要望、満足度、不満点などを把握して、ビジネスに活用する手法です。顧客の実際の声を把握することによって、企業が顧客の本音を理解し、新製品やサービスの開発や、既存製品やサービスの改善に役立てることができます。

VoCは企業視点ではなく、ユーザーの観点を重視するアプローチです。よって、製品やサービスがより顧客に喜ばれるようになり、顧客満足度を向上させることが期待されます。

また、競争が激化する市場において、VoCの活動は、顧客の今の声を迅速に収集・分析することにもつながるので、市場の変化やトレンドに素早く対応し、競合他社との差別化にもつながります。

VoCの重要性

企業が顧客の実際の声を聞くことは、顧客により寄り添った製品・サービスを提供するために必要不可欠です。

最近では、インターネットやSNS、口コミサイトなどが当たり前のように使われるようになり、消費者の声がより多くの場所で見られるようになりました。

企業がいち早く顧客の声をキャッチしなければ、競合他社に優位に立たれたり、悪い口コミが広がったりするリスクがあります。こうした背景からVoCをできるだけ早く、多く収集して、適切な対応や改善が求められるようになっています。

VoC活動のメリット

VoCの活動には、多くのメリットがありますが、ここでは代表的な5つをご紹介します。

  1. 製品やサービスの改善:
    VoCデータを分析すると、自社製品やサービスの改善点や不具合を把握でき、課題が見つかります。顧客のフィードバックを元に行われた改善は、リピート購入につながるだけでなく、口コミを聞いた新規客にも影響が広がり、持続的な売上増が見込めるようになるでしょう。
  2. 新商品やサービスの開発:
    VoCデータは新製品やサービスの企画や開発にも役立ちます。マーケットのニーズや要望を正確に把握すると、市場で受け入れられる製品やサービスのヒントが見つかり、ヒット商品を生み出すことにも寄与します。
  3. 競合他社との差別化:
    顧客の声を取り入れた製品やサービスは、競合他社との差別化にも有効です。潜在的に顧客が抱いている改善ポイントを他社に先駆けて把握できるためです。マーケットにより適した製品を提供することで、先行者優位性を獲得できるはずです。
  4. 顧客満足度の向上:
    顧客のニーズや要望を正確に把握し、それに基づいた製品やサービスの改善を行うと、顧客がその製品やサービスから得られる満足度が向上します。顧客が求める価値を提供されて満足度が向上すると、企業やブランドに対する忠誠心の向上やリピーターの獲得につながるでしょう。
  1. 顧客ロイヤルティの向上:
    顧客の声を真摯に受け止め改善に反映させる企業の姿勢は、顧客の好感を高め、信頼関係を築きます。結果的に企業への信頼も高まり、商品・サービスを愛用してもらうことで顧客ロイヤルティがさらに高まります。

成果は企業活動の広範囲に及ぶ

VoCの活動による成果は、企業の中の広範囲に渡ります。また、活動の実施や結果を反映させるのに、複数の部門が関与するケースが多いです。

  • 商品企画
    顧客のリアルな声は課題やニーズを理解するために必要不可欠です。マーケットでヒットする商品のヒントがVoCに隠れていると言っても過言ではありません。
  • マーケティング
    売ろうとしているものを求めている層や、どのような訴求で魅力を感じてもらえるのかを正確に把握することで、より効果的なマーケティング施策を行えます。
  • 営業
    顧客の声を通して商品の強みを正確に理解し営業活動に反映させると、見込み客に魅力を伝えられるようになり、成約率の向上につながります。
    見込み客の実際の声を直接聞くことができる重要な部門でもあります。
  • カスタマーサクセス
    顧客の満足度向上が使命のカスタマーサクセス部門にとって、顧客の声をよく聞くことは必須です。
    また、既存顧客に一番近い場所から、直接声を聞く役割を担います。
  • 経営企画
    ヒット商品の創出や顧客満足度向上、ロイヤルティ向上は経営企画でも考慮すべき内容になっていきます。

さまざまな部門で多角的なメリットが得られることから、以下のような状況の企業では特に推奨されます。

  • 新製品・サービスの開発に取り組んでいる
  • リピーターの獲得に課題がある
  • マーケティング施策の効果が薄い
  • 商品に対するクレームがなかなか減らない

プロセルトラクションがVoC活動をサポート

この記事でVoC活動の概要は説明していますが、新規事業のビジネスモデルを構築したり、既存事業を改善したりすることはかんたんではありません。そこでプロセルトラクションではあなたの会社にマッチした活動インサイドセールスのご提案から実践までサポートしています。

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VoCの活動手順

VoCの概要やメリットについて説明しましたが、次にVoCの活動の手順を解説します。
VoCの活動には大きく4つのステップがあります。

ステップ1:目標の設定

まずは、VoCの活動を通して何を達成したいのかを明確にします。最終的に、何が達成されたら活動の成果があったと言えるのか、言語化して設定してください。

例えば、「商品Aの売上停滞の課題を解消するために、売上15%向上を目指した商品の改善策を立て商品企画部の次の商品リニューアルに活かす」といったように、ゴールまでに

・何のために
・いつまでに
・何をする

これらを明確に設定すると、先のステップが定まり進行しやすくなります。

ステップ2:体制の構築

新たに始める活動となるので、社内の体制を整える必要があります。どこの部署の誰が、どのくらいの工数を費やして、何をするのかを決定してください。

必要に応じてプロジェクトを発足させ、予算を確保すると良いでしょう。

ステップ3:ツールの選定

活動をするにあたって、必要なツールを洗い出し、自社に揃っているかを見直します。近年では、VoCの活動に役立つあらゆるタイプのシステムやサービスがありますし、無料で使えるツールも存在します。セキュリティー面やコスト面も考慮しながら、必要であればシステム導入を行ってください。

ステップ4:運用開始

目標、体制、環境が整ったら運用を開始します。具体的には、VoCを収集、収集した情報を分析、分析結果から戦略の策定、アクションプランの実行、効果検証までを行います

VoCの収集方法

従来から存在するやり方に加え、インターネットやスマートフォンの普及や消費者行動の変化に伴って、新たに方法が加わりました。

代表的な手段とその特徴を見ていきましょう。

カスタマーセンター

すでにあるカスタマーセンターやコールセンターに寄せられる顧客の声を利用しない手はありません。次々と寄せられるお客様からのリアルの声を、データ化して窓口以外の人がアクセスできるようにすることが大事です。

アンケート

アンケートでは、数値のスコアをつけてもらうと、NPS(Net Promoter Score: 商品やサービスを家族や友人にどの程度薦めたいかの指標)や顧客満足度などが算出されます。

回答してくれたら景品を送ると回答は集まりやすくなる一方で、不満などが出てきにくい傾向があるので要注意です。

インタビュー

対面やオンライン形式で、直接会話をしながらヒアリングを実施すると、比較的本音が出てきやすく、顧客の率直な意見を引き出しやすくなります。アンケート同様、謝礼を用意するケースが一般的です。

実施の工数がかかったり、データ数を確保できないというデメリットもあります。

SNSや口コミサイトのモニタリング

昨今欠かせないのが、SNSや口コミサイトのチェックです。無料でできる上に、本音が書かれていることが多いので、マーケットのリアクションを把握する上で非常に参考になります。ただ、一部の投稿が炎上して偏った情報となることもあるので注意が必要です。

VoC活用における壁

VoC活動を行うにあたって、なかなか上手くいかない例も散見されます。ここでは、よくある課題やその対策をご紹介します。

VoCが集まらない

活動を始めても、担当者が闇雲に情報を集めようとして、実際何からどのように手をつければ良いかわからないというケースがあります。
必ず、「何のために」「どのようなデータが欲しくて」「誰が」「どのように」集めるのかを構築しましょう

例えば、マーケティング部門でVoC活動を行う場合でも、カスタマーサポート部門にアンケートを実施するなど、部門を超えて作業が発生するかもしれません。

集まったVoCを上手く使えない

情報量が多すぎたり、情報が分散したりする場合、整理して分析することが困難になってしまいます。
関係者は活動の目的を共通認識として持ち、必要な情報にアクセスできるように整える必要があります。必要に応じて、情報を集約できるシステムの導入を検討しましょう。情報が一元管理されると、関係者が整理された情報にアクセスでき、スムーズにデータを使えるようになります。

VoC活動の結果を施策に反映できない

活動をしていく中で、「VoCを集める」または「VoCを集めて分析する」までで止まってしまうケースも少なくありません。

VoCの活動は、分析結果をもとに戦略を立てて、それを実施して効果検証するところまでが一連の流れとなります。最終ゴールの共通認識を社内で構築した上で、定期的に目的に立ち返り、一貫性を持って目的を達成するリーダーシップや体制を忘れないでください。

進捗管理や定期ミーティング、レポーティングや幹部報告会などをあらかじめ設定すると、環境が整って意識も高まるので、完遂しやすくなります。

VoC活動は顧客満足度向上に重要な役割

VoC活動を行うと、顧客のリアルな声を自社のビジネスに反映させることができ、顧客満足度の向上につながります。

VoCの活動を通してマーケットにより寄り添ったかたちで既存の製品・サービスの改善や、新製品・サービスのローンチを行いませんか?

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