継続的に営業目標を達成できる個人、チームは「強い」と表現されます。安定した売上増に貢献してくれるでしょう。

単なる精神論や一時の運だけでは「強い組織」は作れません。適切な目標設定とともに、達成に向けたチェック項目としてKPIが機能していることが重要です。

しかし営業では売上という最終的な数字ばかりに関心が集まり、プロセスについて論理的、数値的な分析が行われることはまだ少ないのが現状です。

正しくKPIを設定できれば、営業個々の能力を伸ばすこと、課題を明確にすることにもつながります。KPIの追及を繰り返すことで、目標達成する確率も高められるでしょう。

今回の記事では、営業におけるKPIの立て方と注意点、振り返り方についても解説します。

営業におけるKPIとは

KPIはKey Performance Indicatorの略で、和訳では「重要業績評価指標」と呼ばれるものです。

最終目標の達成のに、進捗が順調かをはかる指標」と置き換えると分かりやすいかもしれません。

営業での最終目標は年間の具体的な売上金額である場合が多いはずです。したがってKPIは、「この水準をクリアしていけば最終目標金額にも到達できる」ものを定めます。

「みんなで去年の売上を1億円上回る10億円を達成するぞ!頼んだぞ!」と単純に数字だけを与えるのではなく、具体的な行動計画が必要です。

1億円売上を増やしたい
 →客単価1,000万円として10件の新規契約が必要
 →100件の商談を増やす
 →今月はまず10件新規商談を行おう

と数字を細かく落し込んで、目指す中間目標を定めます。この例では「1か月で10件の新規商談問」がKPIとなります。

KPIとKGIの違い

KPIと混同されやすいワードにKGIがあります。KGIは、Key Goal Indicatorで、こちらは重要目標達成指標と訳されます。

言い換えると、業績がうまくいっているかを判断する指標です。営業におけるKGIは、基本的に売上目標になるはずです。具体的な金額または昨年対比130%など割合で表現することになります。

すなわち、

  • KGI=売上目標
  • KPI=目標を達成するための進捗の度合

と理解すれば、概ねよいでしょう。

このKGIとKPIをセットにして関連づけることで、売上目標の確率を高められるのです。

まずKGIを設定する

まず先に、大きな目標であるKGIを設定します。KGIを達成するためのKPI設定と理解してください。

まずよいKGIの見本を挙げます。たとえば「今期の売上10億円」というKGIです。

これは達成できたか、できなかったかが、誰の目からも明快なので、よいKGIとされます。また期限がセットになっているのも重要な点です。

このように明確なゴールを設定すると、向かうべき道をスタッフに示せます。さらに取引先、融資元、外部のステークホルダーにも「この企業は何を目指しているのか」の理解促進になるでしょう。

なお、企業の最終的な評価は売上ではなく利益という指摘もあります。ただ本記事では「営業目線」で、いかに営業数字を伸ばすためのKGI・KPIについてフォーカスしています。

営業パーソンが、個人のKGIを設定することも有効です。「個人としての売上目標を11月までに達成する」「年間目標を120%突き抜けて達成する」などが、個人としてのKGIの例です。

KPIはKGIから逆算されたもの

KPIは、KGIが設定された上で設定すべきものです。KGIを実現するための物差しがKPIだからです。

上述したように、KGI=10億円の売上を達成するという大きな目標だけでは、各部署、各個人は何をすればいいかまでは明確になっていません。ここでKPIの出番です。

売上10億円達成のKGIに通じるKPIとしては

  • 新規顧客を50件獲得する → 500名の見込み客への営業が必要
  • 契約継続率を前年の50%から70%にする → 毎月の進捗を把握、上半期で65%まで上昇
  • Webを経由した資料請求300件獲得する → PVを30%増やす、またはCVRを5%改善

などとブレイクダウンされます。こうすれば、マーケティング部門は「見込み客を500名取ろう」が、Web担当者は「CVR改善をはかって300CV実現しよう」などが合言葉になり、そこからさらに細かく分解された行動目標が出てくるのです。

KPIは必ずKGIに直結するものでなければなりません。KPIを達成したら、自ずとKGIも達成するという密接な関係であるのが理想です。

営業でのKPIの効果的な作り方

ここからは、KPIを設定する際の効果的な方法を解説します。

KPIを作る際は「SMART」モデルを活用するのがおすすめです。SMARTとは以下の5要素の頭文字をつなげたものです。

  • Specific – 明確 
  • Measurable – 測定可能
  • Achievable – 達成可能
  • Relevant – 関連
  • Time-bound – 期限のある

まとめると「誰が見ても分かりやすい」「数値化できる」「現実的に実現可能である」「KGIとの関連性がある」「期限が区切られている」ことが重要になります。

これら5項目をもとに特に注意したいポイントを詳しく見ていきましょう。

最終結果(KGI)に直結するKPI

KPIはKGIに直結しているものでなければなりません。

しかしKGIとは無関係、または関連の低いKPIが設定される例は多くあります。KGIで売上金額を定めたのに、KPIでは「仕入れ値を10%下げる」などが例です。

また「1日1時間、電話がけを行う」なども、新規の顧客開拓のための業務であり、売上増にどう結びつくか具体性に乏しいでしょう。アポイントの件数、受注数、成約率などが、直結していてかつ関連性の高いKPIと言えるでしょう。

数値化できて、定期的に検証できるKPI

「数値化(Mearsurable)」と「期限設定(Time-bound)」は同時に意識するとよいでしょう。

売上達成には客単価を設定し、必要な受注数を割り出します。そこから成約率や、営業機会数などパーセンテージで計算します。あわせて必ず期限を設定しましょう。KGIを1年間で設定したならば、KPIは3か月程度のスパンが妥当です。

営業のプロセスで「がんばる」「こだわる」「ベストを尽くす」などのワードを日々、口にすることは決して悪いことではありません。ただし、KPI設定では、あいまいな言葉を入り込ませてはいけません

がんばるのではなく、何件の営業を行うか。この思考プロセスを忘れないようにしましょう。

個人の活動に落し込めるKPI

個人の活動に落し込めるKPIが重要です。個々の営業活動の積み重ねがあってこそ、売上目標の達成に近づけるからです。

したがってフィールドセールス、インサイドセールス、マーケティング担当者らが、それぞれの行動目標に落し込めるものであることを意識しましょう。

達成をイメージできるKPI

達成をイメージできる現実性のあるものを設定しましょう。

実現性が低い、現実と乖離したものを掲げると、モチベーション低下を招きます。KGIも同じで、「売上を10倍にしよう」などとワンマン経営者がトップダウンで押し付ける例があります。

実現の可能性がなければ、誰も真剣になれません。個人行動のKPIも同じで「月間で10倍の300社と商談する」などは威勢がよいだけで、絵に描いた餅で終わってしまいます。

実現不可能なKPIを設定するとデメリットが大きく、適切なKPI設定をした場合の到達点よりもはるかに下回るでしょう。

プロセルトラクションがKPIの設計をサポート

この記事で営業KPIの概要は説明していますが、新規事業で自社製品に合わせた手法を見つけて実施することはかんたんではありません。そこでプロセルトラクションではあなたの会社にマッチしたリードジェネレーションの手段のご提案から実践までサポートしています。

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営業KPIの具体例【7選】

ここからは営業のKPIに設定すべき、おすすめの具体例を7つ紹介します。

そもそも営業は、量×質で表せるので、どちらかを高めると結果が向上します。そのため、

  • シンプルに量を表すもの
  • 質を数値化したもの

をKPIに取り入れるのがポイントです。

以下から、自社の営業課題の解決に近づけるものを選ぶのもよいかもしれません。

商談数

商談数は、どれだけ顧客に直接セールスできたかを表す指標です。事前にアポイントを取って顧客と接触した回数とも言えます。

受注、成約に最も近い営業方法なので、売上金額や成約数に直結する指標。この数字が伸びれば、一般的に営業結果も伸びるはずです。

アポイント件数、訪問件数、営業機会数なども同義で使われます。

新規顧客数

新規顧客数とは、期間内に新たに契約を結んだ顧客の数です。売上を増やすために新規顧客の獲得は欠かせないので、営業活動の順調さを測る上で重要なKPIの一つです。

また営業パーソンの個人のパフォーマンス評価にも頻繁に活用されます。新規顧客の数が最も多い営業パーソンは、業績への貢献度合いが高いと言ってよいでしょう。

案件数

営業メンバーのそれぞれが担当している案件の数を把握します。

扱う商品の性質や金額によって、適性な件数は異なります。極端に案件数が少ない担当者は手を余らせているか、よほど効率が悪いということになり、多すぎる場合には1件ずつへの対応が雑になることが懸念されます。

一般的には、配分を均等にすることが公平であり、新規営業にかける時間なども捻出しやすくなり望ましいとされます。新規客を増やすことは大事ですが、既存の営業マンが業務過多になって顧客満足度を落さないようチェックすべき項目です。

新規売上金額

新規顧客からの売上金額も重要なファクターです。既存顧客には自動的に契約更新されるもの、アップセル、クロスセルなどが不可抗力で起こることがよくあります。

新規顧客からの売上金額のみに注目するのも、販路拡大がうまくいってるかを測る指標となるのです。

成約率

実際に成約までたどり着く確率のことです。商談数に対して、成約数の割合で算出し、CVRとも呼ばれ、営業の質に直結する数字です。

商談数が多い割に、成約数、売上金額が伸びない場合にはこの成約率が低い、すなわち商談の中身に改善の余地があることになります。

そのため、成約数、売上金額と同等に重要ファクターとして注目する組織は多くあります。

顧客単価

顧客単価も重要なKPIです。売上金額に直結する数値であり、顧客単価の平均値を伸ばすと売上は大きく向上するでしょう。

顧客の課題やニーズを把握し、解決策を提案するのは営業の役割の一つです。効果的な提案までできている営業パーソンは、顧客単価が上昇する傾向にあります。

受注期間

ある顧客の、営業開始から成約までの日数です。当然、短期間で成約したほうが営業効率はよいので、KPIに受注期間を取り入れると、営業の流れを定期的に見直しやすくなります。

見込み客の考え方によっては検討期間が長く、購入まで半年、1年などということも珍しくはありません。ただし検討期間を短くし、早く顧客に決断してもらうのも営業の腕次第です。早く売れる営業パーソンは評価されます

受注までに要する期間も定期的に振り返りましょう。

KPIは途中で変更してもよいか

KPIは途中で変えてもまったく構いません。営業活動が進行する中で、適切なKPIにフィットさせていくのは重要なことです。

なぜなら最終的に必要なのはKGIの達成だからです。その確率を高める優れたKPIがあるなら、途中からでも取り入れるべきです。

たとえばKPIの1つに定めたアポイント件数は毎月順調に達成できているならば、「成約率を10%高める」ことにKPIを差し替えてみると、今度は営業の質を高めることにつながるでしょう。

「このままいけばKGIまで到達できるか?」がポイントです。KPIはあくまでも手段なので、よりよい手段を選んでいきましょう。ただ、メンバーの意識と因果関係が希薄にならないように、KPIの項目をあまり増やし過ぎるのは避けましょう。

営業KPIの設定で売上アップにつなげよう

適切な営業KPIの設定と進捗の管理ができれば、確実に目標に近づくことができるでしょう。また、スタッフそれぞれが自分のKPIにこだわることで組織も着実に成長し、その成長の度合いも数値化できるようになるはずです。

ぜひ正しく効果的にKPIを運用して、売上増と組織強化につなげてください。

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